bmb10150’s blog

yahooから移行記事を含む雑談

またベスト・エッセイ

表紙絵が優しすぎるが、2020年版。

女性作家のエッセイは、相変わらず切れが良い。

しかし、高橋源一郎氏『幻の女』がよくできた話だった。

Aという真面目な作家が、伝言ダイヤルで銀座のクラブの女と知り合うが、

突然、女は行方をくらまし、知り合った資生堂パーラーもそのクラブも

跡形もなく消えてしまっていた、という話。

懇意になった女が跡形もなく消えてしまった話はほかにも

ふたりから聞いているそうで・・・・

この話の何がよかったかと言えば、

現実には謎なんてものはなくて、気のせいであり、

夢のようなことであったとしても過去は過去、

前を向いて気持ちを切り替えたほうがよいことは、

たくさん思い当たるなあと感じられたこと。

それとA氏の体験がスピード感のある文章で描かれていたこと。

2020年版も故人をしのぶエッセイは多かった。

それも過去のこととして

前を向いたほうがよい気もする。

 

老人と海

ベスト・エッセイ2022を図書館から借りて読むことができた。

2013より2022のほうがささる感じがした。

たとえば、少年刑務所の受刑者の詩、ダウン症の兄弟の話、

ブレディみかこさんの話なんかがよかった。

ヘミングウェイ老人と海」の創作にからむエッセイがあって

未だ読んでいなかったので図書館から借りてみた。

なんと2023の発行で訳者の研究の結果を反映した新訳本。

話は子供の頃に白黒テレビで映画を見た記憶と一致した。

死ぬ前に読めてよかった!

 

ベスト・エッセイ

内田洋子「ジーノの家」を読んで、

自分は「エッセイ」なるものが好きなことに気がついた。

だれにも読まれなくても

ブログが書きたい理由もそのせいだろう。

で、その名も「ベスト・エッセイ」という本があるのを知った。

日本文藝家協会編とある。

人が選んでくれた「ベスト」を安易に読むのは気が引けたが、

図書館から「2015」を借りて一気に読んだ。

で、その中でも私の「ベスト」は広谷鏡子さんの「ほんそご」。

作家さんの文は、「切れ」とか「余韻」とかが自分好みだ。

意識して読んでいないが、起承転結がきっちりしているのだろう。

「怖い絵」シリーズの中野京子さんのエッセイもあった。

中野京子さんの文は、勢いと一種の潔さがあって

気持ちがいいと思っていたが、

ベスト・エッセイの中では「並み」程度に感じられる。

なお、広谷鏡子氏は、私と同い年だ。

なるほど、葬式経験で共感できる年代なわけだ。

 

 

 

 

倫理と自己規律の再建

実家の整理中、

平成10年10月18日の高知新聞が見つかった。

なぜあったのか?誕生日だが・・・

「倫理と自己規律の再建」と題した東大名誉教授のコラムがあった。

内容をまとめると

・「五欲旺盛」の五欲とは①財欲②色欲③飲食欲④名欲⑤睡眠欲

・五欲充足の活動を自己規律しなければならないが

・仏教には五戒①不殺生②不偸盗③不邪淫④不妄語⑤不飲酒という戒律があった

・経済大国、消費大国となった日本では五戒による自己規律が蒸発し

・五欲の充足が野放しになった

・世間が気になる人は右にゆれ、左にゆれ

・物差しが欲しい人は生身の生き神様のご託宣に身をゆだねる

・一生が五欲の零細な充足に終わるのは無意味で

・人間の生き方とは…

 

メディアに生臭いニュースが多いのは不信仰のためということだろうか。

これが東大名誉教授 京極純一さん(1924~2016)の倫理観のようだ。

技術者倫理、コンプライアンス、はては闇バイトといった問題、

これに不信仰を直接結び付けることはできないように思うが、

江戸時代、お寺の仕組みがあった時代でも盗人、盗賊はあったろうし、

人の生き方と倫理の問題はいつの時代もあり続けることだろう。

やってはいけないことは時代に関係なく、ある。

京極純一氏は、高知県にゆかりの政治学者。

 

COVID-19

ついに感染。

聞きしに勝る喉の痛みがあったものの、

6日目で喉の違和感と少々の頭痛を残して回復している。

後遺症は感じられない。

よかった。

家族三人が気がついたときには感染してしまったと思われ、

家庭内感染を防ぐ暇はなかった。

・激しい悪寒

・水も受け付けがたい喉の痛み

・喉がれ

・痰が絡む

などが主な症状で熱は微熱で終わったのが幸い。

対処法は市販薬。鎮痛剤と風邪薬のみ。

痛みは我慢すればよいものでない。実感です。

 

AUTISM

 

ウタ・フリス編著「自閉症アスペルガー症候群」をやっと読み終えた。

ここ何年か、本を読むまとまった時間がなぜか持てず、

家族と自身のコロナ感染の機会にようやく読み終えた。

ローナ・ウイング著「自閉症スペクトル」で自閉症と健常の間に境目はない

ことに共感を感じたものだが、今回は、

「打ち解けた話をすることがない」

の表現に同意を覚えた。

また、同じくウタ・フリス著「自閉症の謎を解き明かす」では、

「般化しない」という自閉症の特徴にも同意できた。

子供の成長、発達の過程を観察した経験から、

自閉症では成長に伴い、脳神経の回路を整理統合していく過程に

なにか問題があって統合すべき回路がつながったまま、

という解釈がしっくりきます。

テンプル・グランディンら、自閉症で成功している著者らの本が、

編集や校正で読みやすいように編集された可能性が述べられていて

そうした成功例のかげにも彼、彼女らの生きづらさが予想される。

いずれにせよ、

科学等の発展に貢献した天才には、強いこだわり、執着といった性格があり、

そうした自閉的特性が業績に大きく貢献していることは、

疑いようのないことと思う。

写真は、絵画教室で療育手帳Bの娘が描いた油彩です。

 

 

ボーダーライン

梅雨のさなか、ボーダーライン(Sicario)鑑賞。

ひたすら容赦ない感じ。

マズルフラッシュで有名な「HEAT」に似た、

ストーリーに一切の容赦がない感じ。

「情けは人の為ならず‣・・」

ただし、まちがった解釈で。