M・ミッチェル・ワードロップ著
「複雑系」
2023年7月から読み始め、2024年3月読了。
内容は面白いのだが、
読み進めることが難儀な683ページの文庫。
歴史、社会(経済)、進化でそっくり(共通)の現象が見られ、
それらを複雑系の問題として研究されていることが書かれている。
サンタフェ研究所の顛末を同時に文章にしていることが、
この文庫を厚くしていることの原因のようだ。
例えば、生物の目の進化。
ピンホールカメラのような「明るい」と「暗い」を判断するだけの機能から、
精巧な動物、人間の目に進化するまでの道のりをダーウィンの自然選択では説明がつかない。
それを解明する研究が、かなり前から始まっている。
ちなみに本書の発行は2000年。
理論の解明は途上であるが、
歴史(社会)は、冷戦や帝国の滅亡、絶滅を伴いながら、進化は止まらないというのが内容の結びだと思う。
人工知能より前の「人工生命」について、その尊厳のことが書かれていた。
人工知能の驚異が心配されているが、
実際に人工的な意識が生まれたなら、その尊厳が問われることになる。